キムケンさん

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先日、アルバムのマスタリングで栃木に行ってきた。

今回マスタリングをお願いしたキムケンさんのスタジオは森の中にあって、普段は猿や鹿、熊なんかも訪れるらしい(残念ながら僕が行った日は"しつこい蚊"しか現れなかった)。

栃木にスタジオを移してからは、ほとんどがオンラインでのやり取りなので、わざわざ立ち会いに来る人は珍しいとの事。

僕は絶対スタジオに行って、完成する瞬間を目撃したかった。

こんな時だからこそ、自分に出来る事は全部やりたかった。

 

マスタリングが始まってすぐに、ここまで来て大正解だったと確信した。

この一年間ミックスエンジニアの山本さんと作ってきた音が、大自然の中で爆音で鳴り響く。

これまでの作業が肯定されるような瞬間だった。

 

キムケンさんは僕が少し引っかかるところがあって、言葉に迷っていると、絶対にその箇所を解決してくれて、心が読まれているのかと思うほどだった。

僕の音楽に対して僕以上に徹底的にこだわってくれて、本当に幸せな時間だった。

結果、お昼に始まったマスタリングは終電手前まで続いた。

 

帰りはどこのお店もやっていないから、駅のキオスクでレモンチューハイと中華丼を買って、一人でアルバムの完成を祝った。

キオスクのおばちゃんが「あちあちにしといたから」と言って、笑顔で手渡してくれた中華丼はめちゃくちゃぬるかった。

 

ライブも出来ない人と会えない時代だからこそ、強く確信した事がある。

ここから音源をリリースするまでの道のりは、音を作ってきた1年8ヶ月以上に大変かもしれない。

でも、完成したアルバムを聴いてたら、今は頑張れる気がしている。